Diy❸ 星景撮影用のハーフソフトフィルター自作(作成手順)
1.はじめに
今回のお題は、星景撮影時におけるハーフソフトフィルターについてを取り上げます。
ハーフソフトフィルターって何?って方も多くいると思いますので、まず星景や星撮影時にソフトフィルターを使うかどうかを説明させていただきます。
2.星景撮影時のソフトフィルター
先ずは、実際の撮影サンプルを見てください。
D850+Samyang 14mm f2.4 XPで撮影しました。設定は共通(14mm、ISO3200、SS20秒、f2.4)でフィルターの有無を比較確認出来るように撮影してあります。
① フィルター無しで星景撮影
② ソフトフィルター有りで星景撮影
※ Cokin X850 ディフューザー 3使用(一番強いソフト効果)
どちらの星が好みでしょうか?
ソフトフィルターがない方は、前景の解像度が高いが、星は小さいです。
ソフトフィルター有りの方は、前景の木の解像度が低過ぎでイマイチ、明るい星は滲みが大きくなっているがフィルター分暗くなっている為か暗い星は消えてしまっています。
前景の解像度と星の滲みは、ソフト効果の少ないフィルターに変更すればバランスは取れますが、X850ほどではないですが前景の解像度は落ちてしまいます。
3.景色の解像度と星の滲みの融合について
① ソフトフィルター効果中程度の物を使用する。
今回のサンプルでは、最もソフト効果の強いX850を使用しました。
ソフト効果の少ないCokin X830/X840、Lee ソフトNo 3を使えば星と景色の調和も取れますが、やはり、前景の解像度は落ちてしまいます。
② 撮影中にソフトフィルターを動かして調整する。
境目を誤魔化すテクニックですが、失敗もしますし、自動のタイマー撮影では全く使えません。
③ ハーフソフトフィルターを使う
100mm幅のハーフソフトフィルターは、Kenkoから発売されています。
24mm f2.8クラスのレンズを使用して撮影しましたが、星の滲みと前景の解像度が調和され最も私好みの撮影ができました。
Nikon D850+Tokina 24-70 f2.8 Pro+Kenko ハーフプロソフトン(A)
(24mm、ISO3200、SS20秒、f2.8)
しかし、広角出目金レンズの14mmや15mm用の130mmや150mm幅のフィルターにはハーフソフトフィルターは販売されていません。
4.ハーフソフトフィルターの自作
無いものは作るしかない!
結局、今回も作成する事にしました。
自作の利点は、ソフト部分とクリア部分の比率を自在に決めれます。
また、滲みの具合も好みに調整可能な事です。
【目標】
Samyang 14mm XP用に使用するため星の滲みはある程度欲しいが細かな星もできるだけ残したいと欲張りな感じが目標!
具体的には、ソフト部分の滲みはCokinX850と同等程にして解像度をLee ソフトNo.3程度を目標にしました。
5.準備するもの
① XLサイズ(130mm幅)クリア系のフィルター(Cokin X231)
② クリアラッカー
③ 食品ラップ
④ マスキングテープ
⑤ 新聞紙
6.作成手順
① 好きな比率を計りマスキングテープで線引きする。
今回は、今までの経験から縦方向に70%をソフト効果にしました。
② クリア部分と裏面に食品ラップをかけマスキングテープで固定する。
※マスキングは、しっかりしておきましょう。マスキングが甘いとクリア部分にクリアラッカーが混入してしまいます。
③ ソフト部分の塗装
新聞紙を敷いた上にラップしたフィルターをおき、約30cm離れた位置から噴射する。
この時、フィルターの直上では噴射開始せず、フィルター外で噴射を開始して均等な速度で左右に吹き付けます。
3往復程度吹き付けたら、一度乾燥させます。
※ 屋外で吹き付けしましたが、埃が入り失敗しました。
※ 屋内で吹き付けをした方が、綺麗にできます。
④ 滲み具合の確認
夜の屋外で街路灯や家の門灯で滲み具合を確認して、滲み不足なら①〜③を繰り返します。
※ ③の往復回数は滲み具合で調整してください。
作成時は門灯や街路灯で確認していましたが、今回のテスト撮影は時期的にイルミネーションがあったのでイルミで撮影しています。
フィルターレス
X850
自作ハーフソフト
アーチ部分までソフト効果状態
自作ハーフソフト
水面部分までソフト効果状態
⑤ 完成
好みの具合に吹き付けが出来たら完成です。
7.考察
X850と自作ハーフソフトフィルターと拡大比較
① X850
② 自作ハーフソフト(X231改)
ハードルの高い目標を掲げて作成してみましたが、実際に撮影したイルミネーションのソフト部分の解像度もX850よりよくなっているのはラッキーでした。
また、前景部分の解像度は格段に良くなっています。
フィルターレスと比べれば解像度が落ちているのは仕方ないですが、樹脂製フィルターを入れた1枚撮りではこれが限界かもしれません。
光学ガラス基板2mm厚を探しましたが、売っていなかったので当分の間は、このフィルターで頑張るしかありません。
8.おわりに
埃が入ったり、マスキングが甘くクリア部分に入ってしまったりと失敗を繰り返しましたが、3回目には、吹き付けも慣れ均等に塗装することができるようになりました。
何事も、実験と練習が必要だと痛感しました。
その結果、実際の星景撮影をした写真では、自分好みの滲み具合と前景の解像度を実現することができました。
星の滲みと前景の解像度を求める方は一度チャレンジしてみてください。
撮影サンプル
ハーフソフトフィルター(Cokin X231改)
https://bluewhale.hatenablog.jp/entry/2018/12/04/235646